光り輝く神への祈り

絵描きの二人がいる。 その二人は美しい。 とても、とても。 二人の世界では、どちらも、今、自分がいる一秒だけを、振り切れそうなほど目一杯生きている。 スピッツのロビンソンに出てきそうな二人だ。 わたしは、二人が羨ましくて仕方なかった。 泣いて、…

Camellia II (temporary)

人と人が出会うのには、必ず、何かしらの意味があるのだと思う。 薄く窓を開けて、早朝の青白い空気がようやく少し和らいできたのを指先で確かめる。出てきた時にはまだ空は暗くて、幹線道路の橙灯が流れていくのが少し眩しかった。薄明を過ぎた今は、朝陽が…

playlist

雪の舞う季節からは程遠いけれど、この季節、いつもすれ違うのは確かだと、シャッフルしたプレイリストから流れた「粉雪」を聴いて思う。 冬の歌はわかりやすく切ないものが多い。夏の夕陽がそこらじゅうにきらきらした粒を降らせているのを眺めながら、じき…

熱量

大切な友人が悲しみ、憤っていた。組織と、その構成員に対する、どこへとも向けることのできないやるせない怒りだった。 偶然にも、わたしも同じ悲しみを抱えていたので、彼女の悲しみと怒りはとてもよくわかってしまった。それと同時に、酷く冷めた気持ちで…

忘却

見知らぬ人を殺してしまう夢を見て飛び起きた。どうやら寝る前に癖でつけてしまった暖房が暑かったらしい。エアコンを止めて、再びまどろみの中にもぐりこむ。目を閉じて、ふわふわとした感覚にたゆたううちに、急に「記憶と記憶のインデックスが紐付いてい…

ANNIVERSARY op.2

年明けという時期もあって、誕生日はいつも、過去と未来を同時に見渡すような心持ちで迎えるのだけど、今年ほど、ここが分岐点になるのだと感じる日はない。理由は、まだぼんやりしすぎていて自分でもわからない。でも、確実に何かが変わった。前日からフラ…

dreamin', I was dreamin'

初夢、と呼ぶには全く相応しくない悪夢を見て飛び起きた。手の甲がヒリヒリする。どうやら眠っている間にかきむしったらしい。エアコンの効き過ぎた部屋はひどく乾燥していて、外界に通じる呼吸器官が、どこもかしこもからからに乾いているのがとても不快だ…

monkey magic

Eテレの「2355&0655 年越しをご一緒にスペサル」を見ていたら申年に突入していて、その後眠って目が覚めたら東の空の果てが朱色に染まっていた。慌てて近くの山道を高台まで飛ばして、初日の出にはなんとか間に合った。太陽礼拝。冬の冷たい朝の空気の中で、…

last sheep

え、大晦日?うん、おおみそか。そんな感じでひつじ年が終わりそうです。今日は朝から溜まってたお洗濯物を干して、ようやくクリスマスツリーをしまいこみ、柔軟剤入りのお湯で絞った雑巾でお掃除して(埃がつきにくくなるとか)、先々週末に買ったハーブの…

camellia I

先日帰省した折に、ずっと会ってみたいと思っていた女性と、念願叶って一緒にお茶をすることになった。意外にも切り出したのは彼女の方からで、私は少し面食らいながらも、いつも画面越しに見ている淡い色をした彼女の姿を思い描き、迷わず待ち合わせの返事…

過去に生きている

この前、大昔に縁があった人をSNSで見かけた。彼女は私から当時の恋人を奪っていった女性で、そもそもそれ以前からどうにも相容れなくて、でもなんとなく近寄らずにはいられない、とても奇妙な関係だった。私は彼女が羨ましくて仕方がなくて、そしてまた、負…

何かを伝えるということ

以前から聞いているPodcastで、「表出」と「表現」の違い、を話していて、おお、と腑に落ちた。表出とはむき出しの感情をそのまま出しただけ、表現は目的意識を持ってそれを伝える(ようとする)こと、という解釈をした。 腑に落ちたというのは、自分の核に…

初恋

高校生のときに初めて付き合った同級生は、その男が敬愛する吉井和哉の「アンニュイ」だと感じられる部分について相当な影響を受けていた。あの目だとか、声だとか、歌い方だとか、立ち居振る舞いだとか。常に細かすぎて伝わらない物真似をしているようにも…

昔どこかで見たもの

とても懐かしいものを見つけてしまった。 その当時の回答なんてとっくに忘れてしまったけど、はっきりとわかるのは、今やってみても「なんでこうも当たるのか」ということだけ。 ここから下は1行ずつ、ゆっくり読み進めてください。 ※先を読むのは厳禁なので…

原点と現在地のあいだ

こうしてもう何個目かのブログを作って、そしてまた何回目かの最初の記事に悩むという作業を繰り返している。 夏頃、何かを始めたくて、でも自分に何ができるのかわからない、そんなどハマりしていた時期があった。公私ともに自己のコントロールを後回しにし…