2016-01-01から1年間の記事一覧

Camellia II (temporary)

人と人が出会うのには、必ず、何かしらの意味があるのだと思う。 薄く窓を開けて、早朝の青白い空気がようやく少し和らいできたのを指先で確かめる。出てきた時にはまだ空は暗くて、幹線道路の橙灯が流れていくのが少し眩しかった。薄明を過ぎた今は、朝陽が…

playlist

雪の舞う季節からは程遠いけれど、この季節、いつもすれ違うのは確かだと、シャッフルしたプレイリストから流れた「粉雪」を聴いて思う。 冬の歌はわかりやすく切ないものが多い。夏の夕陽がそこらじゅうにきらきらした粒を降らせているのを眺めながら、じき…

熱量

大切な友人が悲しみ、憤っていた。組織と、その構成員に対する、どこへとも向けることのできないやるせない怒りだった。 偶然にも、わたしも同じ悲しみを抱えていたので、彼女の悲しみと怒りはとてもよくわかってしまった。それと同時に、酷く冷めた気持ちで…

忘却

見知らぬ人を殺してしまう夢を見て飛び起きた。どうやら寝る前に癖でつけてしまった暖房が暑かったらしい。エアコンを止めて、再びまどろみの中にもぐりこむ。目を閉じて、ふわふわとした感覚にたゆたううちに、急に「記憶と記憶のインデックスが紐付いてい…

ANNIVERSARY op.2

年明けという時期もあって、誕生日はいつも、過去と未来を同時に見渡すような心持ちで迎えるのだけど、今年ほど、ここが分岐点になるのだと感じる日はない。理由は、まだぼんやりしすぎていて自分でもわからない。でも、確実に何かが変わった。前日からフラ…

dreamin', I was dreamin'

初夢、と呼ぶには全く相応しくない悪夢を見て飛び起きた。手の甲がヒリヒリする。どうやら眠っている間にかきむしったらしい。エアコンの効き過ぎた部屋はひどく乾燥していて、外界に通じる呼吸器官が、どこもかしこもからからに乾いているのがとても不快だ…

monkey magic

Eテレの「2355&0655 年越しをご一緒にスペサル」を見ていたら申年に突入していて、その後眠って目が覚めたら東の空の果てが朱色に染まっていた。慌てて近くの山道を高台まで飛ばして、初日の出にはなんとか間に合った。太陽礼拝。冬の冷たい朝の空気の中で、…